農業者戸別所得補償法案の主な論点に関する参議院農林水産委員会でのやり取り

1.本法案は、農産物の自由化を前提としたものではないか?

  • 平成19年11月1日(自民党野村哲郎議員、山田俊男議員、共産党紙智子議員より)
  • 平成19年11月6日(自民党佐藤昭郎議員より)
  • 平成19年11月8日(自民党山田俊男議員、加治屋義人議員より)

○法案は、ガット・ウルグアイ・ラウンドの合意事項・枠組みを前提としている。

○輸入自由化を前提とするものではない。

○民主党は、今の関税そのものを全部下げていいとは一度も言っていない。

○WTO、FTAを進める中で、日本の農業を守ることは絶対条件。

○関税は、場合によったら引き下がることもあるかもしれない、そのときにはこの戸別所得補償政策によって生産費と市場価格が下がった場合にはその価格の差を補てんすることによって農業を守っていく。

○法案は、現在自給率の低い作物を生産振興する、つまり、外国から入って くる農産物を抑えてでも、国内生産を上げようということ。従って、関税障壁を下げて外国の農産物が入ってきてもいいというスタンスには立っていない。

○小沢代表は、自由貿易の推進には肯定的だが、農業、農村は絶対に守ると いう強い信念を持っている。農業は、関税で守るのではなく、直接支払いで守る。

○直接支払いによっても守れない場合には、関税に依存することもある。

○今、関税の撤廃、大幅引下げを行えば、日本農業は壊滅的打撃を被る。従って、拙速な日豪EPA交渉入りには断固反対。

2.生産調整の廃止と需給調整の実施は矛盾しないか?

  • 平成19年11月1日(民主党主濱了議員、自民党野村哲郎議員、山田俊男議員、佐藤昭郎議員、公明党谷合正明議員より)
  • 平成19年11月6日(民主党金子恵美議員より)

○今回の計画生産とは、計画にのっとって作っている農家に所得補償するという、ポジの考え方。これに対し、今までの生産調整は、作らないことの代償措置として補填金を出す、ネガの考え方。大きな発想の転換がある。

○生産調整により、水田の中で農地が空いたところには、麦、大豆、飼料作物等につき、一定の加算をして生産を誘導していく。従って、需給調整は必要だが、従来の生産調整とは違う。

○現行の問題のある生産調整は廃止するが、需給調整はしっかりやる。需給調整をやる上でのメリット措置も用意した。

○需給調整を進める上で、参加される方としない方のきちんとした差別化が必要。参加される方にはそれなりのメリットが与えられるような仕組みが大事。同時に、過剰生産による価格下落の際には、需給調整に参加しない方が一義的なデメリットを被る仕組みが大事。これらの考え方が、従来の生産調整、需給調整の考え方にはなかった。

○構造的な米価下落に対するセーフティーネットを、需給調整に参加する農家に限定して用意することは、需給調整を進める上で、非常に効果的。

3.選挙リーフレットは誇大広告ではないのか?

  • 平成19年11月1日(自民党野村哲郎議員、市川一朗議員、佐藤昭郎議員、公明党谷合正明議員より)
  • 平成19年11月8日(自民党牧野たかお議員、山田俊男議員、公明党谷合正明議員より)

○リーフレット作成者は、補償法案の考え方を分かりやすく、そして効果が大きいことを精一杯伝えようとした。誤解があったとのご指摘は、真摯にお聞きする。

○今回の法律案では、マニフェストに書かれた「原則として全ての販売農家」にいう「原則として」とは何かを具体的に説明した。すわなち、国、都道府県及び市町村が設定した生産目標に従って主要農産物を生産する全ての販売農家を対象としている。

○需給調整、計画生産を行うことについては、共通認識を持っている。

○農地、水、環境対策を廃止することは考えていない。

4.本法案と政府の品目横断との違い

  • 平成19年11月1日(民主党藤原良信議員、青木愛議員、自民党市川一朗議員より)
  • 平成19年11月8日(公明党谷合正明議員より)

○対象農家(第4条)は、基本的には政令に委任されるが、10アール以上あるいは市町村長が販売を行っていると認めた農家。集落営農も対象とするが、生産法人化計画、経理一元化、面積規定は考えていない。

○政府の品目横断では、経営体を作りなさいと入口で指定した。民主党案は、農業、農村は非常に厳しい状況だから、地域でどういう農業が展開されればいいか、どういう担い手が育成されていけばいいか、考えさせていただければいいという発想に立っている。

○地域の経営体、担い手あるいは農業農村をどうやっていくかと考える仕組みを構築するために、今せめて赤字を出しているような状況を改善するために、一定の所得補償をすることが非常に大事。

5.米に所得補償する理由は?

  • 平成19年11月1日(民主党主濱了議員、藤原良信議員より)
  • 平成19年11月6日(民主党青木愛委員より)

○米の下落は、農家の責任に帰すものではなく、構造的な問題を抱えている。
すなわち、人口減少社会に入り、米の需要が減少していく点、米は価格弾力性が小さく、価格が下がっても需要が伸びない点、米が作りやすく、過剰基調となりやすい点、価格メカニズムが変化し、米価の維持が難しくなった点である。

○米について、生産費と価格の状況を見ると、労賃はおろか物財費すら出ていない。そういう地域が、日本全国、中山間地域を中心に広がっている。
それでも、高齢者が農業を続けるのは、自分がやめたら耕作する人がおらず、耕作放棄地になることが忍びないからである。
このような状況で、政府のいうように規模拡大することは大変なリスクを伴う。農地の出し手はいるが、受け手がいない中で、将来の規模拡大志向の農家にとっても一定の収入の見込みが立つような補填をすると同時に、加速度的な離農を防ぐため現在意欲を持っている小規模の農家にも補填をすることが大事。

6.需給調整に参加しないと罰金30万円は本当か?

  • 平成19年11月6日(公明党谷合正明議員より)
    (米の場合、その生産数量目標を少しでも上回った場合は一切支払われない、補てんされないのか?)

○生産数量目標は、戸別の農家については当該年度あるいは翌年度に、米についての作付面積が割り当てられる。本法案による交付金は、生産数量の目標に従わず、割当られた作付面積を守らなかったときには、交付しないということ。
一方、米については、当然単収とかにはその年、折々によっていろんな変化があり、多く取れるときもあれば少なく取れるときもある。たまたまその年が豊作だったら、割当られた作付面積が守られている限りについては、それは何にもペナルティーにはならない。

○罰則を科されるのは、交付金を不正に受け取った場合である。需給調整に参加せず、交付金も受け取っていない場合には、罰金を科されることはない。