第174回国会(通常国会) (2010.1.18 〜 )

○予算委員会

▽3月3日(水)

案件 : 基本的質疑

答弁者 : 内閣総理大臣 鳩山由紀夫/副総理・財務・経済財政政策担当大臣 菅直人/財務大臣政務官 大串博志/日本銀行総裁 白川方明

(主な論点)

 冒頭、予算には歳入と歳出があるが、四書五経の言葉「量入制出」すなわち、健全財政の建前を取る、収入に見合った歳出計画を作るのか、「量出制入」すなわち、歳出を決めた後に歳入予算を決めるのか、どちらが予算編成のあるべき姿かを鳩山総理に質した。 "入るを量りて出るを制す"という思いで予算編成を行ってきたとする総理に対し、歳出92兆円に対して税収が37兆円であることを示し、総理の見解を求めた。総理は、経済が大変厳しい環境の中、国民の命を守るための歳出も必要な中で、国債発行44兆円で抑えるというぎりぎりの中で編成したと述べた。

 これに対し、租税収入が、国債の償還費と地方交付税交付金を同じ額になっていることを示し、歳出から国債償還費と地方交付税交付金を除いた一般歳出については、国民は一銭も税金を出していないと見えてしまうと述べ、税金を払わないで行政サービスを受けているような予算に見えることを認識する必要性を強調した。また、税収が漸減傾向にある中、国債発行額が多くなり、国の財政が破産するかもしれないと述べ、赤字財政を垂れ流した自公政権の財政運営を批判した上で、しっかりとした財政再建計画をもって、自公政権の時のような財政運営を止めなければならないと強調した。新成長戦略によりパイを膨らませながら、一方でしっかりした財政規律を作り上げるという、難しい二つの道を両立させたいとする菅大臣に対し、税収と歳出の乖離が大きくなり過ぎている状況を真摯に説明することの必要性を強調し、子ども手当、高校教育無償化など、次の世代に借金を負わすようなねじれた政策は修正するべきであるとした。

 更に、赤字国債の法律上の根拠や国債の60年償還ルールにつき大串政務官に確認した上で、財政法上認められた建設国債とは違い、赤字国債の発行は財政法上認められておらず、毎年、特例公債法を制定して赤字国債の発行を続けていること、また、自公政権は赤字国債の償還ルールを、建設国債の60年償還ルールに変えてしまったとして、負担を先送りしてきたと批判した。

 次に、国家財政、財政の持続可能性、債務不履行のリスクにつき、日本銀行総裁の見解を質した。景気の回復を確かなものにすると同時に、市場の安定を維持するため、財政運営や金融政策の運営に対する市場の信認を維持することが大事だとする白川総裁に対して、財政均衡は政治家の仕事だとするバーナンキFRB議長の言葉を紹介した上で、現政権も財政計画や再生計画なしに赤字国債の発行を拡大すれば、自公政権の延長になってしまうとし、その轍を踏んではならないと強調した。続いて、国債の利払い費に関連して、長期金利が何故低いのかを確認した。長期金利は、将来の成長率、物価上昇率に対する市場の見方を反映して、これに国債を保有することに伴うリスクを加えて形成されるとする白川総裁の答弁を踏まえた上で、日本は景気が悪いために金利が抑えられており、菅大臣のいう3%の名目成長率を設定することは、名目金利も相当上がることを意味し、現在の国債残高をからすると利払い費が急激に上昇することになるとし、こうした現実を踏まえることが必要だとした。また、今年度の国債発行53.5兆円が国内で賄えたのは、企業の設備投資が対前年で20%も落ち、個人消費も落ちて、貯蓄投資バランス、貯蓄余剰を生み出したからだとし、不景気によって財政が支えられているとして、国民に対する説明が必要だと強調した。財政問題については、使うことばかりだったので、財政を均衡させるためには、どこかを切って財源を持ってこなければならいとし、大変だがこれをやらなければならないと強調した。  

最後に、増税問題についても、避けないで議論することが大事だとして、菅大臣の決意を質した後、質疑を締め括った。

▽3月4日(月)

案件 : 基本的質疑

答弁者 : 内閣総理大臣 鳩山由紀夫/副総理・財務・経済財政政策担当大臣 菅直人/農林水産大臣 赤松広隆/経済産業大臣 直嶋正行

(主な論点)

 冒頭、チリ地震による国内の被害について、漁業保険の早期の発動、養殖施設への融資などを赤松農林水産大臣に求めた。赤松大臣は、すぐ支払うよう3月1日に指示を出したと述べ、漁業共済でカバーできない方への相談に応じられる体制もつくったと答弁した。

 次に、国の財政赤字の問題を先送りすることは、米国でいうポンジ・ゲーム、ネズミ講だとして、爆発したときには爆発した人が損をするが、先送りしている間は利益を得ると述べ、鳩山総理の認識を質した。また、日本の名目GDPに対する債務残高の比率が200%、純債務残高(債務残高−金融資産)の比率も世界で一番となり、日本だけが急激な右肩上がりになっていることを示し、この傾斜を緩いもの、できれば一定の割合に持っていくことを短期的な目標にすべきだとして、菅大臣の見解を質した。菅大臣は、現状認識はその通りだとし、財政再建の目標は最終的には対GDPの安定化にすべきことには共通認識を持つが、成長戦略を含めパイを大きくするため、財政出動ももう一年か何年かは維持しながら、債務残高の対GDP比率は大きな指標になれると答弁した。 菅大臣の答弁に対し、当初予算は財政規律を重視すべきであり、デフレ脱却、景気刺激のためには、補正予算で、投資効率の良いものを小出しでなく、どかんとやるべきだとした。また、日本の財政はかなり危機的な状況にあるという認識を持って、大変厳しい状況だが補正予算を組むのでしっかり使ってくれよというようなメッセージを出すべきだと強調した。

 更に、赤字国債の発行残高の総量が非常に多い中、最大のリスクは、利率が変動したときの利払い費が増えることだとし、財政問題がかなり深刻な状況にあることに対する鳩山総理の認識を質した。鳩山総理は、大変厳しい状況であるが、英知を結集し、政府が正しい道をリードすることができれば、未来の展望が開かれると答弁した。

 続いて、経済成長率名目3%は目指すべき方向だが、生活実感と違うとし、名目成長率3%に対する認識を仙谷国家戦略担当大臣に質した。仙谷大臣は、10年間平均3%成長の目標は、ここで改めてデフレ宣言をし、日本の持てる資源を集約し、日本人が少々経済に対する考え方を切り替えてやっていけば必ず達成できると答弁した。

 最後に、医療、介護が成長分野であるが、問題はそれをどうファイナンスするかであり、産業として別に稼ぎ頭がいるとして、それは自動車産業であり、鉄鋼業界であり、物づくり日本ということになると指摘し、日本には元気な産業があることを言っていかなければならないとして、直嶋経済産業大臣のコメントを求め、質疑を締め括った。

○本会議

▽3月24日(水)

案件 : 平成22年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算 賛成討論

(主な論点)

 冒頭、冒頭、平成22年度総予算案に賛成である理由として、第一に、子ども手当、高校の実質無償化、農業の戸別所得補償制度の導入など、マニフェストを実行に移す予算であること、第二に、公共事業費を切り込み、社会保障関係費を大きく伸ばすなど、政策の優先性を踏まえ、硬直した予算の配分を大きく見直したこと、第三に、行政刷新会議における事業仕分けなど、財源の生み出しに新たな手法を導入し、新しい事業の実施に必要な財源を政治主導によって生み出したこと、第四に、歳出規模は92兆円と過去最高の規模になったことは、リーマンショック以降の世界的な不況下で景気を支えるという観点から適切であることを挙げ、税収以外の財源捻出に様々な工夫をしたことを評価した。

 その上で、歳入の基礎をなす税収と歳出の乖離が拡大し続け、我が国財政への信頼が大きく揺らぎかねない状況になりつつあるとして、恒常的に国債、特に赤字国債に財源の多くを依存する財政構造をそのままにして、国の財政の持続性を損なう事態は、政治の責任において絶対避けなければならないとし、また、歳出抑制の基本は、無駄の排除よりは、予算支出の優先順位を決め、必要とされる予算であっても削減をするという厳しい政治の決断だと強調した。

 最後に、デフレ不況対策が優先されるとした上で、国の財政への信頼が揺るぐことがないよう、財政の悪化には必ず歯止めを掛けるとの強い政治の意志を示すとともに、市場に評価され得る具体的な道筋を示すことの必要性を強調し、これまでの政権運営の大きな負の遺産の一掃と、新しい社会制度、政治システムの構築という大きな仕事、財政の立て直しを実行し、かつ成果を出す覚悟を鳩山政権に求め、討論を締め括った。

○内閣委員会

▽5月27日(木)

案件 : 国家公務員法等一部改正(閣法、参法)、幹部国家公務員法案

答弁者 : 内閣府特命担当大臣 仙谷由人/内閣府副大臣 大島敦/総務大臣政務官 階猛/対案提出者 林芳正

(主な論点)

 冒頭、司馬遼太郎の「翔ぶが如く」の後書きのいう、日本の統治機構は、政府と言うべきか官と言うべきかという言葉を引用し、日本の政府は、太政官、選挙で選ばれたのではない、官という特殊な集団が国の命運を握っている形を今日まで引きずっていることを言っているのだと指摘した上で、農林水産省に入省した当時の徹底的な議論が行われていた雰囲気を紹介し、仙谷大臣の感想を求めた。司馬遼太郎の指摘するような名残は、制度的にも、我々の意識の内にも色濃くの残っているとの感想に対し、そのような伝統と気分が必ずしもいい方向に行かないような昨今の状況の中で、官僚政治からの脱却、国家公務法の改正が流れの一つとして出てきたとし、中央集権国家の流れを変えるのが民主党政権のできた意義だとして仙谷大臣の認識を質した。仙谷大臣は、民主主義、制度の下では、議会がガバナンスの一翼を担って、住民、国民にどうやって責任を持つのかを考えざるを得ず、重層的なガバナンスの関連をどうつくるのかに尽きるとした。

 次に、国家公務員法等一部改正案につき、官僚制度と民間組織を比較した場合の難しさを質した。身分保障、終身雇用、年金がマーケットにさらされない分、モラルハザードをお越し、国民から尊敬されなくなっているとし、勤務条件を問題にする側が、財政的な問題を考えないで済む時代は終わったとする仙谷大臣に対し、林議員は、民間は業績を比較可能であるが、官の世界は業績評価や行政評価により、違うから変えろということは難しい点、基本権の制約がある点を指摘し、官僚主導は、国家目標が一つあり、それに対し効率的にやっていこうという状況ではいいが、多様な意見のコンセンサスを取っていく場合には難しいとして、我が国の置かれている状況に合わせて考えるべきだとした。

 続いて、人事の在り方につき、霞ヶ関、官僚、公務員の人事のどこに問題があったのかを質した。責任の所在が不明であることが問題だとする仙谷大臣に対して、林議員は、法律上は任命権者がいるが、不文律として官僚がやってきており、任命権者である大臣が、すぐに適材適所を判断するのは難しいとした。これに対し、責任の所在は明らかで、人事については省庁に任されていると同時に、職種にまで任されているとし、人を見る目、人を育てるという体制は、今でも役人の世界はしっかりしていると指摘し、霞ヶ関全体の組織を大きく見直す、仕事のウェート付けも変わっていくという状況の中では、人事の仕組みも見直して行かざるを得ないとした。また、労働基本権のめぐる現状の認識は一致しているとした。更に、特別職と一般職の違いを政府に確認した上で、自民党対案では、幹部職を特別職にする目的は何かを質した。林議員は、政権交代が起こった場合に、企画立案をする人は、ある程度、内閣がやろうとする政策の遂行に加わっていくことになるので、別建てで、政治任用職と一般職の中間形態として、一般職の外に出して幹部職と位置付け、能力・実力主義を基礎に、内閣との一体性確保を担保するとした。それに対し、幹部職の降任以外は、国家公務員法の規定を援用しており、出すことに法的にどれだけ意味があるのか疑問を呈した。

 次に、名簿の作成について、どういう手順で行おうとしているのか、仙谷大臣に質した。履歴と評価を前提にしながら、面接試験的なものとする答弁に対して、大臣の推薦枠により、最終的には各省の幹部職のポストの枠が(自省出身者に)自動的に決まってしまうのでないかと懸念を示し、非常に調整が難しいが、そのようなことがないように運用する必要があると強調した。また、公募の役割につき、幹部職の中での位置付けを質したところ、大島副大臣は、平成20年の国家公務員制度改革基本法では、幹部職員の公募を内閣人事局で一元的に行うための仕組みを新設するとした。林議員は、幹部公務員法では、欠員が生じた場合、欠員が生じると見込まれる場合に公募を行うとした。これに対し、霞ヶ関から出てきた人の名簿は行き先が決まっていないのに対し、公募は官職を指定するとして、公募制について枠をはめるような条文となっているとし、民間の公募でも、霞ヶ関で仕事をした人でも、差を設ける理由はないと指摘し、運用のときによく考えるべきだとした。

 続いて、離職を余儀なくされた方へ就職支援を行う規定を自民党案が外した理由を確認した上で、離職者に対する支援は、組織全体の見直しの中の一環としてのツールとして必要だとして、午前質疑を締め括った。

 午後の質疑の冒頭、次官、局長、部長クラスを同一職制とする政府案に対し、事務次官、局長、審議官クラスという職制に分けた自民党対案の考え方につき質した上で、政府案の方が任命権者に対して人事をやるときの裁量の幅をやや拡大したとし、政治姿勢を示す意味でも良いとした。同時に、幹部職がいつ転任になるか分からないおそれみたいなものを心の中に抱きながら仕事をするのは非常にまずいとし、濫用、過度な権限の行使を抑制する仕組みが必要だとし、転任をする場合、上の職階から下に下がる場合には、きちんと説明するルールを作るべきだとし、判断基準も明確にしなければならないとした。また、公務員の不偏不党、中立性を確保するためには、採用の部分は、独立した人事院が行うことによって政治的中立性、公平性が確保、担保された現行の方が良いとした。

 最後に、定年制の延長に伴う、定数管理、人件費抑制なども問題について、しっかりした対応の必要性を強調して質疑を締め括った。