第173回国会(臨時国会) (2009.10.26 〜 )

○予算委員会

▽11月6日(金)

案件 : 総括質疑

答弁者 : 内閣総理大臣 鳩山由紀夫/副総理・国家戦略担当・経済財政担当・科学技術担当大臣 菅直人/財務大臣 藤井裕久/外務大臣 岡田克也/経済産業大臣 直嶋正行総務大臣 原口一博/農林水産大臣 赤松広隆/厚生労働大臣 長妻昭/消費者・食品安全・少子化・男女共同参画担当大臣 福島みずほ/金融・郵政改革担当大臣 亀井静香/日本銀行副総裁 山口廣秀

(主な論点)

 冒頭、人口減少社会に入ったことが、社会生活、マクロ経済政策、労働政策等様々な政策に影響が出てくることを指摘し、鳩山総理大臣の見解を質した。国債を発行して景気を刺激するようなやり方でなく、人間のための経済という新しい発想、新しい公共の役割を強めるべきとする総理に対し、人口減少社会では、今までの発想を変えていかなければならないとし、大きな改革をするときの視点として、人口減少社会に基づいて様々な検討をすることが必要だと強調した。また、過疎法をどうするのか、特に過疎債の存続について、どのような方向を考えているのか質したのに対し、原口大臣は、過疎債については、ソフト化に使いたい。基金にして、7割の交付税で元利を償還するなど柔軟な拡大の方向で考えていけたらと答弁した。それに対し、過疎債を適用できるような条件をつくらなければならないと強調した。

 次に、足下の景気に対する政府・日銀の見解を質し、実質GDPがマイナス3%で二年間連続して下落した例を挙げ、景気が緩やか身持ち直しを続けているとの日銀の説明に対して、二番底の懸念があることを紹介し、雇用情勢においても回復感がなかなかでてこないと主張した。また、失業者対策が大きな課題であることを強調して、雇用情勢に対する認識を質した。政策を継続するとともに、新規の雇用を生み出すための緊急対策本部を設置するとの答弁に対し、中小企業は雇用助成調整金がどうなるのか心配していると指摘し、二次補正でしっかり対応することを強く要望し、安心を与えるために二次補正をやると宣言するべきだと強調した。また、設備投資が落ち、個人消費も落ちている状況では、政府支出で対応することが一般理論であるとし、この状況に対応するための更なる二次経済対策について、藤井大臣の見解を質した。少なくとも来年度は相対的には景気刺激的な姿勢を継続する必要があるが、23年度からは中期財政フレームで財政再建をやりたいとする大臣に対し、経常収支の黒字と資本収支のマイナスをリバランシングする一環として、内需中心の政策が求められているとし、前川リポートでも内需拡大策の方向へは変わらなかった原因を質した後、貯蓄を美徳とする日本人の意識の変換が求められているとして、我々の生活行動が遠因であることを示す情報を出しておくことの必要性を強調した。政治の信頼が必要とする藤井大臣に対し、私たちの生活パターンを変え、一人当たりの個人消費をどうやって上げるのかきちんと整理することが政権の使命であり、人口減少下において日本の経済はどうなるのか説明できる体制を実現して頂きたいと要望した。

 続いて、貿易交渉につき、日本はマルチ、WTOの交渉促進に軸足を置くべきだとして岡田外務大臣の見解を質した。マルチは非常に重要だが時間がかかるので、EPAやFTAはWTO協定と整合的な形で補完的にすすめる、言わば二本立てでやるのが現実的な考え方だとする岡田大臣に対して、経済のブロック化の可能性もあり、基本はマルチ、マルチを日本の立場にするべきだとし、農業は守らなければならないが、同時にWTOも進捗させなければならないと強調した。また、農産物に対する平均的な関税率では、EUの方が日本よりも高いことを指摘し、守るべきは守るというスタンスは堅持すべきであり、直接支払いをして支えることも大事だと強調して、政府の見解を質した。鳩山総理は、ドーハ・ラウンド成功に向け最善の努力をすると答えた。

 更に、財政の観点から、社会保障費を扱い、社会保障費は増え続け、一般行政費の約半分を占めることを指摘し、これからの財政運営を見たときに、どのような規模が必要なのか、抑えるところはないのか、鳩山総理の見解を質し、社会保障の負担も求めるときちんと言わなければならないと強調した。また、子ども手当の創設、高校教育の無償化の財源をどのようにファイナンスして行くのかを質し、国債管理の問題の重要性を指摘して、国民の覚悟を求めることを内閣に求めた。また、少子化対策を福島大臣に質した。

最後に、景気が悪化する中で中小企業対策の必要性を強調した上で、亀井大臣の思いを確認して質疑を締め括った。

○予算委員会

▽11月9日(月)

案件 : 総括質疑

答弁者 : 副総理・国家戦略担当・経済財政担当・科学技術担当大臣 菅直人/財務大臣 藤井裕久/農林水産大臣 赤松広隆/国土交通大臣 前原誠司

(主な論点)

 冒頭、農業者戸別所得補償と需給調整、生産調整との関係につき、現場では情報が錯綜していることを指摘した上で、米の所得補償については需給調整、生産数量目標の計画に参加し、それを守った農家が対象になることを、赤松大臣に確認した。また、水田利活用事業で、産地づくり交付金が廃止になる一方、米粉、飼料作物について反当たり8万円という単価は大変有利なので、現場では作ってしまおうという動きになり、それが売れなければ大変なことになると述べ、買い手があることが前提であるときちんと言わないと、現場は混乱すると指摘した。更に、戸別所得補償が零細農家を温存させるという指摘に対しては、農業をやれる限り頑張ってくださいとのメッセージを送る一方で、地域にあった農地の流動化、構造政策の推進をセットで進めなければならないと主張し、赤松大臣の見解を質した。

 次に、財務相・中央銀行総裁会議G20で合意された世界経済の不均衡是正の監視の仕組みについて、不均衡の是正とはどういうことか確認した上で、各国の経常収支の状況を示し、不均衡の是正は、1980年の日米構造協議の時は日米二国間で議論していたが、現在はアメリカ対世界という構図になっている指摘して、世界の不均衡の是正の中には財政再建も入っているのかを質した。財政再建について、世界で一番悪いのを是正し、国債市場の信任を得ることが大事だとする藤井大臣に対し、2010年1月までに設定する政策の枠組み、計画、見通しには、日本として財政再建の目標を出さなければならないと主張した。また、日本の財政赤字はほぼ100%国民からファイナンスされているので、国さえ信頼されていれば、国債管理もやりやすくなると指摘し、日本の国債管理のやり方は世界とは違うということを、世界に主張すべきだと強調した。

 続いて、2007年の内閣府のリポートでは、日本の社会資本は700兆円と試算されていることを紹介し、社会資本ストックをどうメンテナンスしていくかが大きな課題となると指摘して、前原大臣の認識を質した。将来的には、新規の投資がなかなか難しい状況であるという前原大臣に対して、社会資本が膨らむと、それを管理することにもコストがかかると指摘し、日本は社会資本のストックの増大はしないことを原則として、パラダイムを転換し、データに基づいた検証を行い、造らないか、造っても整備水準をできるだけ簡単にするような方向に転換することを大臣は訴えるべきだと主張した。選択と集中をしっかりやり、公共投資をマネジメントしたいとする前原大臣に対して、ストックマネジメント、これまでに造った社会資本の維持管理、更新に軸足を置いた政策を進めるとうたった方がよいと主張し、今の時代に必要なのは、社会資本ストックの有効活用だとして、補助金適正化法などの制約要因を外すことも考えるべきだと指摘した。

 最後に、後発のダムほどダムの効用が縮減することを数値で示す必要性を指摘した上で、八ッ場ダムに57年もかかった理由を質し、巨大プロジェクトの際の最大の問題である地元との交渉は、大臣一人でやるのではなく、役人の知恵も使わせて頂いてやっていくことを提案して、質疑を締め括った。