平成20年12月4日

金融機能強化法案に対する基本的考え方

農林中金は農協信連などの預け金の運用を主たる業務とする投資銀行的性格の強い特殊な金融機関と位置づけられる。その運用にあたっては、利回りを確保するため、特に近年は、海外証券への多額の投資など他の金融機関に比べ高いリスクを抱えた資産運用をおこなっている。

こうした資産運用が裏目に出たのが、米国発といわれる世界的な金融危機の中での資産の大幅な毀損、そして、その結果必要となった、一兆円にのぼるとされる農林中金の自己資本の増強である。これに要するコストは、最終的には組合員の負担へと転嫁されるものである。

一方、農林中金に対する政府による金融検査は、金融にあまり精通しない農林水産省が主体となって行われ、金融検査に精通したスタッフをそろえた金融庁が脇役となっている。完全な縦割り行政である。政府の取りうる万全のリスク管理体制が取られていない事を意味し、組合員の預金保護という観点からは、大きな問題がある。

さらに、こうした実態は、預金者たる組合員はおろか、組合長にすら知らされていない。

また、国際的な金融環境が大きく変わる可能性がある中、今後の農林中金、系統金融は、そのあり方、資産運用などに抜本的な見直しが迫られていると考える必要がある。

民主党は、以上のような問題意識をもちつつ、財政金融委員会を中心に金融機能強化法の審議を行ってきた。

当初、農林中金への資本注入を行うに当たっては、その特異ともいえる資産運用の実態を充分に把握する必要があるとの認識のもと、「国会に事前承認が必要ではないか」との意見が党内にあり、その方向で国会での議論を進めることとした。

しかしながら、農林中金だけを特定することは法的に困難であること、資本注入があった場合には、事後的な審査で実態把握は対応可能である、との結論に達し、今国会での農林中金、農協などにかかる規定の修正案の提出はせず、農林中金などにかかる金融機能強法案の枠組みには反対しないこととした。

また、別途民主党が参議院に提出した「農協法等の一部を改正する法律案」と金融機能強化法案とは別のものであり、両者を関連づけて扱うことは全く考えていない。

民主党は、農林中金の立場に立つのではなく、あくまで組合員の預金保護はどうあるべきかとの観点に立って、金融機能強化法の審議に臨んできた。今後とも、この観点に立ちながら、農林中金、信連、農協金融のあり方等について積極的な提言していきたいと考えている。