「米国産牛肉の月齢制限、30ケ月未満諮問報道」について

●事実経過

@平成19年12月6日〜7日 「日米次官級経済対話」開催

A平成19年12月7日 日米次官級経済対話後の記者会見

キーナン米国農務次官:
・(日本政府が)30ヶ月齢未満というのを食品安全委員会に諮問すると言っていた。
・(上記発言に対し)不快感を持っている。段階的アプローチは必要ないはずだ。

B平成19年12月7日 官房長官記者会見

・(30カ月齢未満に見直す方針の有無について、)わが国政府は今は20カ月だが、30カ月ということを食品安全委員会に提起しようということだったが、ご承知のように、米国は国際基準に従ってすべきではないかという立場でなかなか調整がついていなかった。
・(30カ月にすることで食品安全委員会に諮問することを検討しているのかという問いに対し、)前からそういう方針だが、それは日米間の合意を得て今度、諮問することになっている。
・春ごろからずっとそういう方針で米国と話し合いを行ってきたテーマである。

C平成19年12月17日 外務省・農林水産省・厚生労働省の公式見解

「米国産牛肉の輸入問題について」

  米国産牛肉の輸入条件の見直し要請については、政府として以下のとおり対応してきているところであり、この方針に変わりはなく、現時点において、具体的な見直しが決まっているものではない。

1.米国産牛肉の輸入条件の見直し要請については、先般開催された日米の専門家   による技術的会合の結果を取り纏めることが重要であると考えており、その結果を踏まえ、政府一体として適切に対応する。

2.本件に関しては、食の安全と消費者の信頼確保を大前提に、科学的知見に基づいて対応することが重要との考えの下に、政府一体として適切に対応する。

●参議院農林水産委員会(平成19年12月18日)における主な論点

1.【政府の見直し方針有りとする】キーナン米国農務次官(上記A)及び町村官房長官の発言(上記B)と、【見直し方針なしとする】外務省・農林水産省・厚生労働省合同の公式見解(上記C)の隔たりについて

 キーナン米農務次官は、12月6日と7日に開催された日米次官級経済対話後の記者会見において、米国産牛肉の月齢制限につき、「(日本政府が)30ヶ月齢未満というのを食品安全委員会に諮問するといっていた」と発言した。また、町村官房長官は、12月7日の記者会見で、日米の合意を得た後、30ヶ月未満にすることを食品安全委員会に諮問することはかねてからの方針であったと発言した。

 こうした発言に関して、内閣府の食品安全委員会に対して諮問する権限を有するのは農林省、厚生省であることを確認した上で、30ヶ月未満に制限の緩和を諮問する用意があるのかどうかを質したところ、若林農林水産大臣は、条件の見直しは、専門家による技術的な会合の結果を踏まえて対応するものであり、同会合の報告書が出ていない現在、政府として諮問する方針を決めていないと答弁した。また、12月17日に発表された外務・農水・厚労三省の公式見解も、「現時点において、具体的な見直しが決まっているものではない」としており、官房長官の発言と外務省、農林水産省、厚生労働省の公式見解に大きな隔たりがある。

 月齢制限の緩和について、国内でも十分な議論がなされていない中で、30カ月未満で食品安全委員会に諮問するようなことを約束した、あるいは、そうとられても仕方のないようなメッセージを日本側が送ったとすれば、食の安全に対する消費者の信頼を大きく損なうものである。

2.今後の対応について

 トレーサビリティー体制が確立し、21ケ月齢以上の牛に全頭検査を行っている日本と、30ケ月齢以下については全く検査していない米国では、検査体制に大きな違いがある。そのような中で、日米の専門家による技術的会合において検討を行うこと自体、消費者に対して大きな不信感を与えるものである。まして、国内における十分な議論ない中で、月齢制限の緩和を諮問することは、プロセスを無視するものであって、消費者を顧みず、米国の政治的圧力に屈したとの印象を与えるものである。

 また、国際獣疫事務所(OIE)は、米国を月齢制限なしで牛肉を輸出できる国と認定した。米国は、この認定を根拠に、我が国の輸入条件の緩和を強行に求めている。 こうした米国による要件緩和の要求をなし崩し的に受け入れることは避けなければならない。

 食の安全に関わる行政は、米国ではなく、消費者を向いて行うべきである。BSE問題は、安全の問題であるとともに、安心の問題であり、プロセスが大事である。日本のBSE問題への取り組みのプロセスを無視するような対応を行い、食品安全行政に対する消費者の不安が高まることは避けなければならない。