第170回国会(臨時国会) (2008.9.24 〜)

農林水産委員会

▽11月13日(木)

案件 : 一般質疑(汚染米に関する農林水産省の取り組みについて)

答弁者 : 農林水産大臣 石破茂 農林水産省総合食糧局長 町田勝弘 農林水産省大臣官房総括審議官 本川一善 厚生労働大臣官房審議官 中尾昭弘

(主な論点)

 冒頭、政府備蓄に係る事故米を食品衛生法6条違反、同11条違反、食用に転用できるものに分類した上で、ずさんな管理体制を続けてきた政府を批判した。

 次に、輸入検査時に事故品となったMA米の国内流通を認めていたことを確認した上で、その管理体制を質した。輸入商社に報告をさせるにとどまり、その後のフォローをしていなかったとの答弁に対し、6条違反のものが相当あったという前提で考える必要性を強調した。また、食用に転用できない米の横流しを、商社からの報告に任せきりにし、国が食品衛生法違反であることを監視する仕組みがなかったことを指摘した。

 更に、平成14年度以前においても相当な横流しがあったと考える必要があると指摘した上で、横流しによって買い入れ価格と売り先の価格の差の中から生じる利益を吸い上げるような仲介業者が多数介在するようなネットワーク・流通システムがあったことを、政府は気付いていながら放置していたのではないかと批判した。また、食糧法には、悪意の仲介業者に対する罰則がないので、そのような仲介業者が不問に付され、同じ事が繰り返される懸念を表明し、商社ルートの実態解明と悪意の仲介業者を特定する必要性を強調した。

 残留農薬基準を上回るメタミドホス汚染米については、平成18年にポジティブリストの制定を受けた検査をやり、約3500トンのメタ二ドホス汚染が出た。最終的には今回の調査で明らかになったように、ほとんどが売却され、多くの部分は食用に転用されていた実態が明らかになった。農林水産省によると、この米は、平成15年に中国から輸入されたモチ米であり、そのときに輸入された量は5000トンであるので、仮に、平成15年にポジティブリストができたとすれば、その5000トンは全て汚染米であったことになる。しかし、ポジティブリストが後で作られたために、その段階では何も問題はなかった。また、平成18年の段階までに、1550トンが売却されたことが明らかとなった。この1550トンの大部分は、消費されたと考えられるが、平成18年に政府の備蓄米からメタミドホスが検出された段階で、市場のどこかにあった可能性があると指摘した。また、商社か仲介業者が倉庫に蓄えていた可能性があると指摘して、その量を把握していたかどうかを質した。また、粒の状態のままでストックされている米は、メタミドホス汚染米であり、食品衛生法11条に該当するものであり、その量さえ把握していなかったことは、食の安全を守る役所の姿勢として、対応がかなり甘かったと批判した。政府は調査もせず、メタミドホス汚染米が市場に出回っていることを放置したことになると批判し、メタミドホスが出た段階で食品安全委員会にきちんと相談し、情報を流す義務があったのでは指摘して、大臣の見解を質した。更に、こういうことに対して、しっかりとした対応をとっていなかったことの根底には、メタミドホス汚染米についてはそれほど問題がないという意識があり、こうした意識によって、今回の一連の横流し事件、特にも告発文が出てきた段階においても十分な対応をしなかったのだと批判した。また、メタミドホス汚染について、政府保有米とすれば11条違反により残留農薬基準を超える米が出てきた初めての案件であるにもかかわらず、きちんと対応しなかったことに通じると指摘した。更に、ポジティブリストが施行された段階で、粒としてこのような米がどこかの倉庫に保管され、メタミドホスの残留農薬基準を超えているのであれば、その米が市場に流通させることは、食品衛生法上禁止されていることを確認し、しっかりした総括の必要性を強調した。

 次に、事故米等の支援事業につき、不正業者には仲介業者も入ることを確認した後、認定の手続き、仕組み、主体を質した上で、支援対象になった善意の事業者名を公表するのなら、支援対象になった事業者以外の事業者は不正事業者とのレッテルを貼られてしまうので、不正事業者を特定し、公表する必要性を強調した。

 最後に、告発文が届いてからの対応に、危機感が欠けていたのではないかと批判して、質疑を締め括った。

農林水産委員会

▽12月9日(火)

案件 : 一般質疑(事故米穀に関する農林水産大臣の報告について)

答弁者 : 農林水産大臣 石破茂 農林水産省経営局長 橋博

(主な論点)

 冒頭、農林中金は投資銀行的な性格の強い、かなり特殊な形態の金融機関であり、高いリターンを求め、海外のリスクの高い証券にも運用先を求めているという特徴を確認した上で、農林中金の目的規定で想定した内容と現在の運用実態の中身にはかなりの差があると指摘した。その上で、農林中金が、60兆円の資産を保有するのに対し1兆円の資本増強を行うのは異常であるとし、資産運用をハイリスク・ハイリターンのもので行っている実態を、各単体の農協の組合長、組合員が知っているのか、大臣の認識を質した。ディスクロージャー制度、透明性の問題であるとする大臣の答弁に対し、農林中金の資産査定、資産運用をチェックする体制には万全の措置が必要であるとして、農林中金のコーポレートガバナンスを担う経営管理委員会は、身内で固めすぎていないかと懸念し、金融を本当に分かった人を入れておくべきだと強調した。

 また、農林中金の金融検査は、現在金融庁と農林水産省が共同で行っているが、農林中金の資産運用は特殊であり、農林水産省では限界があるので、政府は最も信頼のおけるスタッフを送って金融検査に望ませることを考えるべきだとした。また、農林省の検査と金融庁の検査を分けたほうがいいと主張した。

 次に、郵政民営化の影響が今の系統金融に及ぼす影響につき、郵貯銀行が住宅ローンや個人融資等の貸出に参入した場合、リスクを大きく取れるので、農協は多大な影響を受けると指摘。更に、人口減少社会では、共済事業も大変になるとして、農協の系統全体の在り方を検証する時期に来ていると指摘した。

 更に、農林中金の歴代理事長が農水省の事務次官経験者であることは、新たな時代にふさわしい体質をつくってゆくことを後押しするためにも、そろそろ止めた方がいいと指摘した。また、農協の金融事業で経済事業の赤字を埋める構図につき、金融事業が今後厳しい経済環境となる中、経済事業の黒字化は必須であると強調した。

 続いて、汚染米の売却につき、横流しをやりやすい構造が最初からあったと指摘し、そのような流通システムがあったことについての総括が必要だと強調した。有識者会議は、有害物質に汚染された汚染米に特化した議論をしており、米全体の流通システムの根幹に係る問題をしっかり総括するべきであったとした。

 また、汚染米でありながら食用加工米の検査要領を適用して行ってきたことにつき、メタミドホスが議論されてからの96回ではなく、農水省全体の検査体制に問題があったとの認識が必要だとした。有識者会議では、議論のフィールドが意図的に狭められていたのでは疑念を呈し、基盤として何があったのかを総括することが大事だと強調した。

 更に、今回の総括の中では、商社ルートが抜け落ちており、監視体制すら取られていなかったり、厚生労働省の対応もずさんであったと批判し、全体像の把握もできないまま各論に入り過ぎ、今回の事件の本質の大事な点を見失うおそれがあると強調した。

 最後に、農政事務所の廃止という結論につき、原因と結果が離れすぎていると疑問を呈し、また、民主党の汚染米等実態解明小委員会の報告書の提出に触れ、質疑を締め括った。